福岡県公立高校補充募集で起こること

コウコウニュウシ

福岡県公立入試の定員割れはラッキーか?

今回補充募集がでたように、福岡市内の高校を除く公立高校では定員割れが続出しています。
実際に補充募集まで出ていることから、ここ何年後も同じような状況が続くのではないかと思われます。

「じゃあ、ラッキーじゃない?公立高校に受かりやすくなるのよね」と思ったあなた。

確かに、そう言えると思います。

公立高校は、今後定員割れの可能性が高く、公立であればどこでも良いのであれば、どこかに必ず受かるでしょう。

では、それがラッキーかというと、そうとも言えません。

なぜ、定員割れの高校ができるのか?

一般的には少子化の影響と言われています。
学校の募集に対して、生徒数が少ないためです。

しかし、高校の募集人数は減少しています。

また、受験生自体が減っているというよりも、公立高校を受験する生徒の人数が減っているのに対し、私立高校の志願倍率は、8倍~10倍という学校もあり、偏差値が年々上がっています。

高まる私立高校志向

当塾はオンライン授業を行うため、福岡の激戦区、修猷館高校や城南高校を有する第4学区の生徒もいます。そこで分かることは、同じ福岡県であっても上位校は、志願倍率が依然として高く人気をキープしているということです。これらの学校がなぜ人気なのかと言えば、周りのの私立高校と比べ、進学実績が良いからです。

これを第11学区や12学区等の定員割れの高校学校に置き換えると、同地域の公立高校よりも私立高校の進学実績が良いことを示しています。

ここ数年の進学実績を見てみると、明らかに近隣の私立高校の大学進学率が伸びてきたのが分かります。また、国公立大学や難関校への合格率が上がっていっています。

また令和2年(2020年4月)からの私立高校の授業料への支援額の上限が引き上げられ、私立高校の平均的な授業料程度(39万6000円)まで支給金額が上がりました。つまり、支援金が増えるので、差額を払う負担が減り実質的な「私立高校の授業料無償化」となるのです。

なかでも年収590万円未満の家庭では、授業料が実質無償になります。

ただし、無償化には対象外になるケースがあるのでご確認ください。

受験地区の公立校が「定員割れ」になると起こる3つのこと

受験地区の公立高校が定員割れが起こると、ラッキーでは済まない、将来を左右する問題点が起きます。

①公立の高校に受かりやすくなる

一般入試での合否は内申書の、おもに「各教科の学習の記録」の欄に記載される成績が「内申点」になり、高校入試の合否の判定資料になります。
内申点による判定と、その後の一般入試での点数で合否が決められますが、今回のように補充募集が出ている場合、明らかに合格しやすいです。

ただ合格後、その学校の授業について行けるかどうかは全く別の問題です。

②やる気の維持が難しくなる

受験をする学校が定員割れの場合、緊張感を維持するのが難しくなります。さらに補充募集が出るということは、「受験すれば合格できる」ということなので、やる気は確実に落ちます。

入学前の一番意識が高いときに、やる気のキープができないことは、入学後のモチベーションの維持にも影響します。

③高校のレベルが下がる

定員が割れた場合、一般的に高校のレベルは下がります。
その学校のレベルに対して大きく成績が不足しているや生徒、本来なら一般入試で不合格の成績の生徒も合格しています。成績のばらつきが大きくなるのは否めないでしょう。

一般入試で合格した中には、成績上位の生徒もいると思います。自分が上位で勉強を続けていれば影響はないと思いますか?
残念ながら学校の生徒レベルにばらつきが出た時点で、平均レベルは低下します。
だからすべて生徒に影響が出ます。

そのため学校が授業ペースやレベルを下げるか、ついていけない生徒が続出することになります。学校としても分からない生徒を放置することはしないでしょうから、基礎レベルから、理解しやすい授業をついていけるペースで進めてくれるでしょうし、演習課題を多く用意したりと、いろいろと試行錯誤をしてくれると思います。

その結果、本来のレベルで入学してきた生徒たちが伸びきれない状況が生まれます。高校としても合格実績や卒業後の進路を気にしないわけにはいきませんから、上位の成績の生徒はなんとか実績を出すように考えて試行錯誤されると思います。

また、レベルが下がると大学からの評価が下がりますので、今後指定校推薦の枠が減っていくことが予想されます。指定校推薦(指定校制)とは、大学が定めた指定校の生徒のみが出願することができる制度です。
指定校は大学が高校のこれまでの進学実績に応じて指定するため、自分が通っている高校が指定されていなければ、いくら成績が良くても出願する権利はありません。

大学からだけでなく、就職の斡旋も同様ですから、高校の質は重要です。

定員割れを起こした学校へ進学する場合、大切なのは今まで以上に勉強をすることです。

新しい通学距離が伸びたり、宿題や課題が増えたりと生活が変わることはもとより、部活により時間を取られるかもしれません。しかし、将来につながる大事な時期ですので、十分な学習時間を確保することを忘れずに努力を続けてほしいと思います。

また、来年度受験を控えている新中3生は、どこでも受かるからと油断をせず、自分の将来をしっかりと考えて高校選びをしてほしいと思います。

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